明日も、昨日も関係ない
ただ今日なすべきことを熱心になせ / 釈迦
アリとキリギリスの話を「キリギリスになるな」と受け取られる方は多いようです。しかし本当にそうでしょうか
キリギリスはやりたいことをやり尽くして死にました。いわば大往生です。対してアリはあまり楽しくなさそうです。いまを犠牲にして、明日のために苦労を重ねているように見えるのです。
「過去を追うな、未来を願うな」
と釈迦は言います。どれだけ頑張っても、明日をどうにかするなんて、だれにもできません。ですから、キリギリスの態度こそが正解なのです(もっとも、努力するアリを馬鹿にする態度は絶対的に間違っていますが)。
アリに足りなかったのは、キリギリスのように努力することです。明日のためだからといって、今日に無理をしない。努力そのものを楽しみにする。それこそが、アリが熱心にすべきことです。
キリギリスの目で人生を見ることが、老後を楽しくさせてくれるのです。
【 『老いを生きる 仏教の言葉100』 ひろ さちや[監修] 】
上記から、アリとキリギリスのそれぞれの特徴をまとめてみます。
アリ:① 今日を犠牲にして明日のために努力する。
② 今日より未来のことを考える。
キリギリス: ① 今日だけの努力をする。
② 今日だけのことを考えて、無理をしないように努力する。
以上より、お釈迦さまの「ただ今日なすべきことを熱心になせ」の言葉に叶うのはキリギリスです。キリギリスの目線で人生を見るようにしましょう。
※明日も今日も関係ない(We are never concerned with both tomorrow and yesterday.)
※ ただ今日なすべきことを熱心になせ( Only do eagerly what you should do today.)