思い通りにしようとしない ( Don’t Want to Have One’s Own Way )
人の世にあるとき、求むる所、意の如くならず / 源信
どれだけ頑張っても、成功するとは限りません。それどころか、他人の上前をはねるだけの人間が、大きな顔をしていることもあります。どんなに求めても、独りになることもあります。それがこの世の現実です。源信は往生要集のなかで「人間はこの世にあっては、何を求めようとも思い通りにはいかない」と言います。
この世で暮らす私たちは、満員電車に乗っているようなものです。
窮屈だからといって電車のなかで身体を伸ばそうとすると、ますます苦しくなります。しかし、「満員だから仕方ない」と、それぞれが身体を伸ばすのをやめれば、少しは乗り心地もよくなります。
老後についても同じです。「どうして昔と同じことができないんだ」と自分を責めてしまうと、つらくなるばかりです。自分に対しても、許しの心で接してみる、うまくいかなくて当たり前なんだと考えてみる。そう考えているうちに、心に浄土が現れるのです。
【 『 老いを生きる 仏教の言葉100 』 】
源信は「人間はこの世にあっては、何を求めようとも思い通りにはいかない」と言っていますが、源信に限らず、このように思っている人がほとんどではないでしょうか。
そうであるなら、「思い通りにしようとしないこと」、つまり「うまくいかないことが当たり前だと考えてみること」が、心を軽くして、穏やかになれる方法だと教えられます。「うまくいかないことが当たり前だと考える」という発想がいいですね。
※ 人の世にあるとき、求むる所、意の如くならず ( In this world, people can not want
to have their own ways.)