あなたは常に、満たされている ( You Are Always Satisfied )
- こんなふうに考えてみないか
暑い夏の日ざかり、のどがカラカラになって、水を飲む。ゴックン……。
そのとき、あっ、こんなにうまい水を、みんなも、飲んでいるのだ、と思ったことは、ない。うまい水を飲んで、「あっ、うまい!」と喜んでいるのは自分だけだった。
腹がペコペコになったとき、牛の肉を焼き、たれをつけて、いただく。
食べているのは、この世で自分だけのように思って、大満足。
海へ行って、うまい空気を胸いっぱいに吸う。あっ、自分のために、空気がある。
静かに考えると、日々の暮らしを支えてくれる大生命は、みな自分のため!
空気もふくめ、水もふくめて、宇宙の生命は、わたしを生み、育てるため、ふんだんに尊い力を与えている。そのすごい力、でっかい宇宙の生命力は、みんな「あなた一人」のために働いている……。と、親鸞は、説く。
【(超訳)『こころに響く 親鸞の言葉』 境野勝悟(さかいの かつのり)三笠書房 】
歎異抄、後序には「弥陀の五劫思惟(ごこうしゆい)の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり」と書かれています。
あまりにも尊く、慈悲に満ちた阿弥陀仏の偉大な力に、このように言わずには居られない、聖人の感謝の気持ちの言葉だと受け止めています。もちろん、阿弥陀仏は私たち一人、一人のために、働いておられます。その、お働きを思うと、常に満たされているんだなと、心が安らぎます。