お慈悲のままに

日々、思ったことを綴っていきます~(ちょっと英語もまじえて)。私の趣味は‘英語を楽しむこと’です。その一環として少し英語を取り入れることにしました。

The Happy Nation(幸せの国)

Bhutan is famous for trying to develop what it calls “Gross National Happiness.” It
is known as “the last Shangri-La” ― a remote Himalayan nation, rich in natural
beauty and Buddhist culture, where national happiness is prioritized over economic
growth. But urban youngsters in the kingdom of Bhutan are quick to challenge its
rosy reputation.
Drug abuse, crime and drug-related illnesses are on the rise, especially among youth.
The country's finances are also in a poor state and many worry about unemployment
among young people. ( the JT Weekly )
(訳)                                      
 ブータンはいわゆる“国民総幸福”(GNH)の進展に力を入れていることで知られている。またブータンは、遠隔の地、ヒマラヤの国で、自然美と仏教文化が豊かな、「最後の理想郷」として知られ、国民の幸せが経済成長より優先されている。しかし、ブータン王国の都会の若者たちはいち早くそのバラ色の評判に異議を唱え始めている。                            
 薬物の乱用や犯罪、薬物に関連した病気が特に若者の間で上昇中である。国の財政は乏しく、多くの人々は若者の失業に心を痛めている。
          (ジャパンタイムズ ウイークリー)


 昨年の春のことですが、「幸せの国」ブータンという新聞記事が目にとまり興味をそそられました。ブータンはヒマラヤの山すそに位置する人口約71万、国土面積はほぼ九州ぐらいの小国です。そのブータンでは2005年に行われた国勢調査で、「あなたは幸せですか」という問いに対して、なんと97%の国民が「はい」と答えたのです。それがブータンが「幸せの国」と呼ばれるようになったゆえんだと言われています。また一昨年は、新婚の同国王夫妻が日本を訪れ、幸せムードに包まれた二人の姿が、いやがうえにもその背景にある幸せの国のイメージに重なり、私の中ではブータンという国を一層理想郷に仕立てあげてしまった感がありました。                   
 災害や犯罪や事件、事故、暴動、大規模デモといった不安定要素ばかりが目につく今の世の中にあって、こんな「幸せの国」があるとは….一体どんな国なんだろうと、関心が薄れることはありませんでした。  
 ところが最近の新聞で上の記事を読み、予想外の内容に驚きを禁じえませんでした。ブータンの若者たちはもはや自国を「幸せの国」とは考えていないのです。   
 その第一の理由として、国民総生産(GNP)より国民総幸福(GNH)を優先して独自の成長を模索してきたブータンですが、それまでの鎖国を徐々に解き、国を開いてきたことによって、次第にグローバル経済に呑み込まれるようになってきたという事実が挙げられます。人々は買い物の魅力に目覚め始めたのです。大型スーパーの開店に伴い店頭に並ぶ輸入品を初め、マイカーや携帯電話等に対する購買意欲、一旦目覚めた人々の欲望を国が抑え込み、元の精神状態に戻すのはそんなに容易ではなさそうです。今や人々の精神的豊かさが、物質的豊かさに取って代わられようとしています。そして人々の価値観は大きく変わりつつあると言われます。    
 歯止めがきかず、どこまでも尽きないのは人間の欲望ですね。この欲望により、「幸せの国」ブータンは今、その誉れある名を返上せざるをえないところに来ているのでしょうか。