Players(役者)
今から20年ほど前、「家なき子」というドラマがテレビで放映されました。主役は安達祐実、当時10歳の子役でした。演技も上手く、そのドラマの中で、たびたび彼女が言った台詞、「同情するなら金をくれ!」の言葉は、新語・流行語大賞に選ばれ、視聴率は31%を超えたそうです。
その主役を務めた彼女が、最近テレビでドラマの裏話をしていました。ぼろぼろ泣くときの涙は目薬を使っていたこと。愛犬との触れ合いが仲睦まじく映るように、体のいたるところに魚の干物を隠してつけたり、オーバーオールの裾の‘折り返し’に干物を隠していたこと等を明かしていました。
当時、私もあのドラマは時々見た記憶はあるのですが、彼女のぼろぼろ涙を流すシーンは真に迫っていて、とても感動したものです。だから、裏話を聞いて正直驚きました。視聴者から見れば、役者は演技ではなく、本当に泣いていると思いたいものです。でも、役者の本分はその役柄に成りきって演技することですから、目薬を使っても仕方がないことでしょう。・・・ まあ、いろいろと考えてしまいます。
ところで、イングランドの劇作家、シェークスピアは、自身の作品「お気に召すまま」(As You Like It) の中で、「この世は舞台、男も女もみな役者にすぎない」(All
the world’s a stage, and all the men and women merely players.) という名言を残しています。
一人一人、誰もが自分の人生の主人公であることに間違いありません。喜怒哀楽の感情のるつぼの中にいる人間です。それを表現するのに、感情のおもむくままに行動することもあれば、また、演技して行動することもあるでしょう。この社会を生きて往くには、どうしても自分の本心を隠して演技せざるをえない時も多々あるでしょう。ただそれが、本心であるのか演技しているのかは、他人には見分けがつく時も、つかない時もあります。
でも、他人はごまかせても自分はごまかせません。自分だけは自分の心を知っています。それからもうお一人、阿弥陀さまだけは自分(私)の心を全てご存知です。阿弥陀さまの前ではごまかしは利きません。