「今、この時」にやることをやる (“ Now! At This Time," Do What You Should Do )
飢え来れば飯を喫し、困(つか)れ来れば即ち眠る / 大珠慧海
「お腹が空けばご飯を食べて、眠くなったら眠る」
それがこの言葉の意味です。当たり前ですね。
唐代の大珠慧海(だいじゅえかい)が「道の修行にあたっては何か工夫を用いますか」という質問に「ある」と答えて、その内容について語った言葉ですが、私たちが常日頃行っている「当たり前」とは違います。
私たちはご飯を食べても、気もそぞろに考え事をしていたり、床についても「明日が心配だ」と眠ることができずに悶々としていることがあります。つまり、本当の意味で食べたり眠ったりしていないのですね。
一瞬一瞬のなかで、いまやるべきことに集中する。食事をするときはただ食事をする。眠るときはただ眠る。それができれば修行も進むだろうし、生活そのものが禅となるのだということです。
悩むときはしっかりと悩み、笑うときはしっかり笑う。老いてくれば、しっかりと人生を生きる。それを心において毎日を歩いていきたいものです。
【 『老いを生きる 仏教の言葉100』 】
ここで書かれていますように、自身のことに引き当てても、ご飯を食べる時や眠る時など、気もそぞろなことがよくあります。一瞬一瞬に集中していない証拠です。
確かに一寸先は闇であり、世の中は「今」よりほかはないのですから、今の一瞬に集中することの大切さがわかります。
「『今、この時』にやることをやる」。「努めて意識して、実践したい言葉です ( This is the phrase which I try to be conscious of and carry it out. )」。