すべて百点と考える ( Thinking All Is a Hundred Points. )
般若 / 般若心経
仏教の智慧は世間の智慧とは違っています。世間の智慧は善悪や優劣を分別して価値判断をしようとしますが、仏教は逆に「分別するな」と教えています。無分別こそが仏教の智慧 ― 般若なのです。
たとえば「美しいものを愛しなさい」と教えると、醜いものを人は憎むようになります。しかし美しいものは醜いものがあってこそ、その輝きがわかります。つまり美しいものにも醜いものにも、すべてに存在価値があるということです。それが「諸法実相」であり、仏教の智慧です。
美しいものがずっと美しいままでいることは、もとよりできません。すべて変わり続けるのが、この世のならいであるからです。
去りゆくものにしがみついてはいけません。やってくるものを避けようとしてはいけません。老いも病気も死も、避けようとして避けられるものではないのです。思い通りにいかないことは思い通りにしない。それを心に思うだけでも、苦は苦でなくなっていきます。
【 『老いを生きる 仏教の言葉100』 ひろ さちや[監修] 】
最終部分「老いも病気も死も ……………………. 苦は苦でなくなっていきます」からは、仏陀の言われたという「苦しみが避けられないということを知っている者には、苦しみも悩みもない。( Those who know that they cannot avoid pain have no pain and anguish.)」という言葉を思い出しています。
※ 般若 [仏] 『広辞苑』
㋐心理を認識し、悟りを開くはたらき。最高の智慧。仏智。三学。六波羅密の一。
㋑大般若経の略。