浄土への縁を与えて下さる仏 (The Buddha Who Gives Us the Chance to the Pure Land)
無宗教の人は、人間が死んだら何も残らない無と考える。信心の人は、人間界が終わると同時に「おらが」という主体は仏の世界に生まれると頂く。その仏は常に行動する仏である。その代表的な活動を還相回向という。「煩悩の林に遊んで神通を現じて、生死の園に入りて応化を示すと言えり」。私を浄土へ案内するために「時に応じて親となり子となり、恋人、仇人(あだびと)となり、報土への縁をお与え下さるのです。(射水市 浄土真宗本願寺派浄全寺前住職 故・海内慶静)
【 明日をひらく『 一期一話 』 北國新聞社 】
「「還相回向」とは浄土に往生して後、この世界に戻って一切衆生を教化し共に往生すること。浄土真宗では、その能力も弥陀の力によるものとする」(『広辞苑』)
すべて阿弥陀仏のお力により、なされることがわかります。また上記に「神通を現じて」とありますが、このことを『仏説観無量寿経』(註釈版第二班 浄土真宗聖典)P.107には、神通如意にして(意味;思うがままに、何事もできる不思議な働き)、十方の国において変幻自在なり」と書かれています。
ですので「時に応じて親となり子となり、恋人、仇人となり……….. 」と言われていることがすーっと受け入れられるように思うのです。
私の場合、今は亡きあの人を思い、あの人は恋人であり仇人でもあったなぁと、この説法を読ませて頂いて感じている次第です。浄土への縁を頂き、ただ感謝です。