願い (The Wish )
蓮如さまは、善従のことについて話された。「山科にまだ本願寺を建てるなどという話が起こる前に、善従が神無森(かんなもり)を通って近江へ向かうとき、乗っていたお籠から降りて、いまの山科本願寺の方を指差して、「このあたりに必ず仏法が繁盛するに違いない」と言われた。同行した人々は、「善従さんは、年を取って頭がおかしくなったのではないか、」などと言い合っていたが、このように御坊も完成し、仏法の里になった。不思議なことである」と。また蓮如さまは、「善従は法然さまの生まれ変わりだ、と、世の人々は噂していますよ」とも言われた。善従は、八月二十五日に往生された。
【 現代語訳 『 蓮如上人御一代記聞書 』 高松信英 法蔵館 】
善従には、山科本願寺のあたりに必ず仏法が繁盛するに違いないという、先見の明を見抜く見識があったのだと思われます。また、蓮如上人は善従は法然上人の生まれ変わりであることも、そのように受け止めておられたのでしょう。仏法の信奉者は、教理を信じ尊ばれるのです。見習う点がたくさんあります。