お慈悲のままに

日々、思ったことを綴っていきます~(ちょっと英語もまじえて)。私の趣味は‘英語を楽しむこと’です。その一環として少し英語を取り入れることにしました。

The Name of ‘Shinran’(「親鸞」という名前)

 親鸞聖人のお名前「鸞」について、その物語を牧野光博氏(岐阜・大性寺僧侶)が以前聞いた話として氏自身の法話の中で語っています。                   
 「鸞」は中国の伝説の鳥で、羽は五色の光を放ち、輝くように美しい。また声は五音の音色を奏で、すべてをうっとり魅了してしまうほどです。ところが鸞から生まれた子供たちは、まだ体が真っ黒で親鳥の鸞とは似ても似つきません。だから美しすぎる親の鸞を見ても、とても親だと思えないのです。親がせっせと餌を運んでなんとか食べさせようとしても、どうしても食べようとしません。困り果てた親鳥はどうしたら食べてくれるだろうか、どうしたら自分を親だと分かってくれるだろうかと悩んだ末に、一つのいい考えを思いついたのでした。それは子供たちと同じ姿になることだったのです。それからというもの、真っ黒の泥沼に行き、泥をかぶり、光輝く体を泥で真っ黒にして、子供と同じに見えるようにしたのです。そして餌を運んで食べさせると、子供は喜んで食べるようになりました。そして懸命に育ててくれる鸞を本当の親だと分かるようになったのです。

  
 この話から牧野氏は、「どこか阿弥陀さまと私たちの関係に似ているな」、と思ったそうです。色も形も匂いも無い阿弥陀さまはあまりにかけ離れていて、とても私には分かりません。そこで阿弥陀さまは何とか分かってほしいと、私にも分かるようにご自身を名号という形に姿を変えて私の前に現れて下さいました。そして気の遠くなるような長期にわたってずっと私を見守りながら、私に名号を受け取らせ、親だと分かるまでに育てて下さったのです。


 氏の思いの如く、我が子を思う親の鸞の姿は、私を見守り育てて下さった阿弥陀さまの姿に重なります。もちろん親鸞聖人のお名前はインドの天親菩薩の「親」と、中国の曇鸞大師の「鸞」からいただかれたと言われています。でもこの鸞にまつわる物語から、「親(おや)」の「鸞」と書く親鸞聖人のお名前が大好きになったという牧野氏のように、私も「親鸞」というお名前は「親しみ」の持てる「鸞」のようなお名前に思えてきます。 

  
※ 鸞(鳥)[広辞苑]
 中国の想像上の鳥。鶏に似て羽の色は赤色に五色を交え、声は五音に合うと伝えられる。
( An imaginary bird in China. It is said that the bird is very much like a hen, that its
feathers emit five kinds of colors, and that its song plays five sorts of tones. )