The Everlasting Sutra(永遠の経典)
仏教経典の一つ、『大無量寿経』には、このように書かれています。
「当来之世 経道滅尽 我以慈悲哀愍 特留此経 止住百歳」<当来の世に経道滅尽(きょうどうめつじん)せんに我慈悲を以て哀愍(あいみん)し、特に此(こ)の経を留(とど)めて止住(しじゅう)すること百歳(ひゃくさい)せん>
訳文はこのようです。「やがて将来、わたしが示したさまざまなさとりへの道はみな失われてしまうであろうが、わたしは慈(いつく)しみの心を以て哀れみ、特にこの教えだけをその後(のち)いつまでも留めておこう」『浄土三部経(現代語版)』
また、このお釈迦さまの言葉である上記訳文の直前の文には「わたしがこの世を去った後に疑いを起すようなことがあってはならない」と書かれ、直後の文には、
「この教えに出会うものは、みな願いに応じて迷いの世界を離れてさとりの世界に至ることができる(Those sentient beings who encounter this sutra will be able to attain
spiritual enlightenment emancipating themselves from the transmigratory world in
accordance with their aspiration.)」と書かれています。
ところで、前々回の「三時」の中で書いたことですが、一万年続くといわれる末法時代が過ぎると、教法が滅尽してしまう法滅に入ります。しかし、お釈迦さまは「『大無量寿経』だけは法滅の時代になっても滅尽せず永遠に残る」と仰っているのです。親鸞聖人が『教行信証(教巻)』の中で「それ真実の教を顕(あらわ)さば、すなはち『大無量寿経』これなり」と言われた所以です。
従って、『大無量寿経』は真実の経典であると同時に、永遠の経典であるのです。混沌とした世相が予想される法滅の時代においても、『大無量寿経』は、人々の力強い心の明かりとなるに違いありません。心強いこと、この上なしです。