To leave Oneself to Decree(天命に安んじて)
よく知られたフレーズ、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を福沢諭吉<思想家・教育家(1834〜1901)>も用いています。これを清沢満之<浄土真宗大谷派の僧侶(1863〜1903)>は、「天命に安んじて人事を尽くす」と言い換えました。同時代に生きた二人です。満之の言葉は、当時も人々の注目を集めたことと思われます。
ここで、「人事を尽くして天命を待つ」は、「人間としてできる限りのことをして、その上は天命に任せる」ということですが、「天命に安んじて人事を尽くす」は、「天命に任せて、その上で人間としてできる限りのことをする」意となります。
ところで、『広辞苑』によりますと、「天命」とは「天の命令、天によって定められた人の宿命、天から与えられた寿命」とあります。また、「天」には、神(意)の意味があり、真宗の立場からすれば、仏(意)と考えられます。
従って満之の意図する私たちの生き方とは、「阿弥陀仏に我が身(と全て)をお任せして、人間としてできる限りのこと、つまり、できる限り仏さまの意に叶ったことをする」ことだと受け取れます。真宗の僧侶ならではの言い換え(発想)に感心させられます。
One should leave themselves and everything to decree and should do what the
Buddha wants them to do as much as possible.(天命に安んじて人事を尽くす)