如来のひとり子 ( The Buddha’s Only Child )
「一切衆生悉有(しつう)仏性(ぶっしょう)( All sentient beings entirely have
Buddha- nature.)」という言葉が『涅槃経』にあります。「すべての衆生は、生まれながらにして仏となる種(仏性)がある(『浄土真宗聖典』より)」ということです。
阿弥陀仏はすべての衆生を助けると、衆生が誕生するずっと以前に誓われていました。ですから、衆生の出生時に、阿弥陀仏から仏に生まれる命を与えられるのです。
浄土和讃の中の一首に「十方の如来は衆生を 一子のごとく憐念す」(如来は十方の衆生を、ひとり子のようにいつくしみ、あわれんでおられる)と歌われています。つまり私たちは、個々人が如来のひとり子であるのです。このようなことから、浄土真宗の僧侶である大峯顯師は、自著の中で「私たちは阿弥陀仏の命(の一部)を生きているのである」と言っておられます。仏性を頂いたご恩と、命の大切さをしみじみ感じます。