『ありがたい深い話』( Edifying Deep Sermons )(11)
明治期の大谷派の教学者・清沢満之師は、論語の「人事を尽して天命を待つ」という言葉に対して、「天命に安んじて人事を尽くす」と述べられました。清沢師は、死期の迫った身で、『他力の救済』という文章を著しています。
人間の一生は、辛いことや思い通りにならないことばかりですが、そこに安んじてゆける世界を見いだすことで、今有るいのちを最後まで懸命に生きることができるのです。(南砺市 真宗大谷派誓立寺住職 土屋紳)
【 『ありがたい深い話』 野辺の送り―富山編 富山新聞社 】
清沢満之師は、「天命に安(やす)んじて人事を尽くす」と言いました。清沢師の「他力の救済」という言葉からも「天命」とは「他力」のことだと受け取れます。ですから、「天命に安んじて人事を尽くす」とは、「阿弥陀仏のお働きに安心して我が身をお任せして、人間としてできる限りの事をする。( You leave yourself at ease to Amida Buddha’s workings and do as much as you can as a human being. )」ことだと言えるでしょう。
阿弥陀仏にお任せすることで、感謝しながら、力強く生きていくことができるのです。