ありのままの姿 ( The Actual State of Things )
春は花 夏ほととぎす
秋は月 冬雪さえて 冷(すず)しかりけり (道元)
ごく当たり前のこと、あるがままのことが素晴らしい。道元の歌は、そんなことを私たちに気づかせてくれます。しかしながら、この当たり前のことがなかなかできないのが私たちです。
春には春の魅力があるように、老いには老いの魅力があります。
その美しさに目を向けることなく、ただ過ぎ去ったものを懐かしむだけでは「いまこの瞬間」を楽しむことができなくなってしまいます。どんな一日も、意味ある一日です。無駄な一日はありません。
いたずらに落ち込んでみたり、憤ってみても何も変わりません。落ち込むときは落ち込めばいいのです。そして、楽しいときは楽しく笑う。雨が降ってもまた晴れるように、自然のまま、ありのままでいいのです。
ところで、この歌には「本来の面目(めんもく)」というタイトルがつけられています。本来の面目というのは、ありのままの姿ですね。つまり、物事はありのままの姿が真実であり、そのままですばらしいのです。
【 『 老いを生きる仏教の言葉100 』 ひろ さちや 成美文庫 】
「春は花 夏ほととぎす……………. 」きれいな歌ですね。それに内容に惹かれます。「落ち込むときは落ち込めばいいのです。……….. 雨が降ってもまた晴れるように、自然のまま、ありのままでいいのです」。
スーッと心に染み入るように、「ありのままの素晴らしさが届いてきます(The splendidness of the actual state of things touches my heart. )。」