無常の風 ( The Wind of Permanence )
『御文章』五帖第十六通の「白骨の章」には、次のような一節があります。「されば、朝(あした)には紅顔(こうがん)ありて、夕(ゆうべ)には白骨となれる身なり既に無常の風来たりぬれば、即ち二つの眼(まなこ)たちまちに閉じ、一つの息ながく絶えぬれば紅顔むなしく変じて桃季(とうり)の装いを失いぬるときは、六親(ろくしん)・眷属(けんぞく)集まりて嘆き悲しめども、更にその甲斐あるべからず」
つい先日、隣家の奥さん(Aさん)が亡くなられました。50歳を少し過ぎたAさんは、とても元気そうな方でしたが、脳梗塞であっという間に旅立たれてしまったのです。
上記『御文章』の言葉にありますように、無常の風に誘われたらひとたまりもありません。いつ誘われるか分からないのがこの無常の風です。
「止むことがなく、私たちの周りを常に吹き続けているからです。( The reason is that the permanent wind never stops and continues blowing without a stop around us. )」
Aさんのあまりに早い逝去に驚くとともに、無常の風の私たちを容赦しない怖さを感じています。
この五帖第十六通で、「逃れられないこの風に出会う前に一刻も早く、阿弥陀仏の本願に救われなさいよ」と、蓮如上人は力説し、促しておられます。