世間の声にまどわされない ( Don’t Be Deluded by the Voices of the World )
世間虚仮(せけんこけ)唯仏是真(ゆいぶつぜしん)/ 聖徳太子
「老後には〇千万円は最低必要」
雑誌を見ていると、ときおりそんな記事を見かけることがあります。もちろんお金を貯めることができるなら、それもいいでしょう。しかしちょっと待ってください。「安心な老後のために、もっとお金を貯めなければ」と私たちを働かせて、一番得をするのは誰ですか?
私たちは老いること、病気になること、死ぬことから逃れることはできません。どんなお金持ちにもそれは不可能です。それを老後の蓄えにと無理をして、いまこの瞬間の生活がとげとげしくなってしまったり、身体をこわしてしまうなら、何のための蓄えでしょうか。
世間の理屈に流されて、自分をすり減らしていませんか。
世間なんてしょせん虚仮(かりそめ)のものにすぎません。お金も健康も執着してしまうと、それは不安に変わります。これからを楽しむためにも、世間なんて捨ててしまったほうがいいのです。 【 『老いを生きる 仏教の言葉100』 】
聖徳太子は、「世間虚仮 唯仏是真」という言葉を残しました。その意味は「現象世界は仮のもので、ただ仏の世界のみが真実である」『広辞苑』ということです。
虚仮(かりそめ)とは、はかない一時の事ですので、現象世界(この世)は、はかない「幻の世」です。
因みに聖徳太子は、深く仏教に帰依し、仏教興隆に力を尽くし、多くの寺院を建立した方でした。「世間はしょせん虚仮のものにすぎない」ことを知らされ、「仏の世界のみが真実である」と、説かれたのです。
世間の声にまどわされないようにしましょう。( Let’s not be deluded by the voices of
the world. )
願わくは、誰もが仏の声(話)に耳を傾けてほしいものです。