よい結果は自分だけで得たものではない ( The Good Results Are Not Gotten by Only One’s Efforts )
よきこころのおこるも、宿善のもよほすゆえなり(歎異抄)
私たちはよいことが起これば、有頂天になって喜びます。悪いことがあれば落ち込み、どうしようもない怒りを他人にぶつけてしまうこともあるでしょう。しかし、仏教においては、よいことも悪いこともすべて過去からの積み重ねられた業(宿業)によるものとされています。「よい心が起こるのも、過去から積み重ねられた善の働きによるものである」というこの言葉にあるように、私たちは、この世で宿業を引き受けながら生きているにすぎないのです。
ですから、よい結果にも「自分の努力によるものだ」と傲慢になってはいけません。また、つらい出来事で自分を責める必要もありません。起きていることを、ただありのままに見つめれば、善悪を超えた気づきを得ることもあるでしょう。
【 『 くり返し読みたい 親鸞 』 監修;釈 徹宗 リベラル社 】
「仏教においては、よいこともわるいこともすべて過去から積み重ねられた業(宿業)によるものとされている」のですから、「私たちは、この世で宿業を引き受けながら生きているにすぎないのです」という言葉からは、宿業の強い重みを感じます。また、「起きていることを、ただありのままに見つめる」必要性を感じます。