よく考え、流されずに生きる( Think Securely and Live, Not Being Carried Away by Others’ Words)
聞思(もんし)して遅慮(ちりょ)することなかれ (教行信証)
この言葉は『教行信証』の初めに出てくるもので、「聞思」は聞くこと、そしてそこから考えを深めることを意味し、「遅慮」は疑問を感じてとまどい、前に進めなくなってしまっているさまを表します。「真実の教えをよく聞いて考え、疑ってはいけない」というのが、この言葉のメッセージです。
現代の社会では日々多くの情報があふれ、様々な考えを持つ人の言葉を聞くことも多いでしょう。しかし、それら一つに振り回されていると自分の進むべき道が見えなくなってしまいます。このような時代だからこそ、生きるためのよりどころとなる真の教えと出遇うことが必要です。その教えを自分自身の問題として深く考えていけば、力強く前に進んでいけるようになるでしょう。
【 『くり返し読みたい 親鸞 』 監修;釈 徹宗 リベラル社 】
様々な考えを持つ人の言葉を聞くのではなく、仏教の教えを正しく聞くことが大切です。仏教で教える「聞く」とは次のようです。「『経』(大経・下)に「聞」(もん)といふは、衆生、仏願の生起本末(しょうきほんまつ)を聞きて疑心あることなし、これを聞といふなり」と教えられています。つまり、「阿弥陀仏の本願を、疑いなく聞く」ことです。
聞思して遅慮することなかれ ( We hear the origin of the Primal Vow thoroughly and have not doubts nor hesitations.)