お慈悲のままに

日々、思ったことを綴っていきます~(ちょっと英語もまじえて)。私の趣味は‘英語を楽しむこと’です。その一環として少し英語を取り入れることにしました。

The Cause of Pain(苦の本)

 人よくこの仏の無量力威徳を念ずれば、即時に必定に入る         
( Those who think on Amida Buddha’s immeasurable power and virtues
immediately enter the stage of the definitely settled. )
             (龍樹菩薩)(『注釈版聖典(七祖篇)』十六頁)
(省略)
 龍樹菩薩は、七高僧の第一祖として、宗祖親鸞聖人以来、私たち念仏者は日頃から親しみ、また尊敬していますが、「八宗の祖」ともいわれ、大乗仏教に流れを汲む仏教各宗派は皆、龍樹菩薩を讃えています。                             
 しかし伝記などを見ると、若い頃は「やんちゃ」な青年で、悪友たちと悪事にふけっていたと記されています。それが、ある事件を契機に、人間として大きな発見をされました。 

 この時はじめて、欲は苦の本、聚禍の根なりとさとる。(『龍樹菩薩伝』)

と、苦しみの原因やわざわいの根元は「欲」だと発見されたのです。     
 私たちは、自分の苦の原因を外に見ようとします。「隣の人のタチがわるいから」「政治が悪いから」「教育が悪いから」と、つねに苦の原因を外に見ます。

(省略)
 原因がわかれば治療ができます。原因のわからない病気は治療できませんが、どんな難病でも、原因がわかれば治療も予防もできます。いま、苦の原因が「欲」だとわかりました。その治療法は、「欲」をなくせば「苦」もなくなると考えられますね。小学生でもわかる理屈です。しかし、いざ実行するとなると、実は、はなはだ困難です。昔の歌に、「わかっちゃいるけどやめられない」という歌詞がありました。これが難行道です。         
 他に方法はないだろうか。欲のままでも苦につながらない道はないのか。そこで龍樹菩薩は他力易行の念仏にたどり着かれました。念仏申す身になっても欲はなくなりませんが、苦につながらないのです。「即時に必定に入る」と正定聚(しょうじょうじゅ)の位に就き、迷いに退転しない身になるのです。そして、不平、不満の毎日が、「ありがたい」「もったいない」という身に変えられ、お念仏申す中から、ご恩のわかる人に育てられるのです。   
    【 『珠玉のことばたち』  満井秀城 本願寺出版社 】     
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 ここで「苦の原因は外にあるのではない。私自身の内にある『欲』である」と言われます。だから、欲をなくすれば苦はなくなりますが、欲はなくなりません。しかし「念仏を申す身になれば、欲はなくならないけれど苦につながらないのです」と教えられます。力強さを感じます。このことは、まさに私が毎日の生活の中で実際に体験し、実感していることです。

 このように実感できるのも、「人よくこの仏の無量力威徳を念ずれば(弥陀仏の本願を憶念すれば)即時に必定に入る(即時に正定衆の位に就く)」の龍樹菩薩の言葉を受けて、満井師の言われるように「迷いに退転しない身になり……. お念仏を申す中から、ご恩のわかる人に育てられる」からに違いありません。