お慈悲のままに

日々、思ったことを綴っていきます~(ちょっと英語もまじえて)。私の趣味は‘英語を楽しむこと’です。その一環として少し英語を取り入れることにしました。

The Great Voice of Perfect Enlightenment(正覚の大音)

 『大無量寿経』上巻には、「正覚大音 響流十方」(正覚の大音、響き十方に流る)と書かれています。このことについて、住岡夜晃氏(1895〜1949・宗教家)は、『住岡夜晃選集』第二巻の中で、次のように述べています。「如来の正覚は説法の大音となって十方世界に響流する。…….. 正覚の大音、大声というのは、あながちに声が大きいということではない。…………….. 正覚、正しい覚りから出た知恵、その無限の知恵から生まれる言葉であるがゆえに大音といわれるのである。正しい言葉は、声が小さくても響くし、よこしまな声は、仮にどんな拡声器を備えつけたとして、遠くは響かない」               


 このように、大音とは物理的な大きな声をいうのではないということです。でも、私はよく想像するのですが、この大音は、実際は宇宙に鳴り響いているのかもしれない。ただ人間には聞こえない(聞く耳を持たない)だけなんだと・・。このように言いますのは、人間は加齢とともに、高い周波数の音が聞こえづらくなるといわれるように、人間の間でも、あるいは人間と動物の間でも、音の周波数の違いから、聴覚が異なってくるといわれるからです。
 この興味深い例として、主著『昆虫記』で有名なフランスの昆虫学者ファーブルは、セミの聴覚について行った実験結果をその書の中で書いています。それによると、セミが鳴いている木のそばで大砲(空砲)を発射したけれど、セミは鳴き止みもせず、飛び去りもしなかったというのです。つまり、セミには大音は聞こえていなかったということです。    


 このようなことから、特に、広々とした空や、遠くに見えるくっきりとした山の稜線などを眺めている時などは、私には聞こえないだけで、正覚の大音は大空に轟いているのかもしれない、と思うことがよくあります。                        

 正覚大音 響流十方                          
The great voice of the Perfectly Enlightened One
resounds throughout the ten quarters.