The Lives of Things(「モノ」のいのち)
「モノ」のいのちをいとおしむ心 (東井義雄)
(ほのぼのカレンダー ういず仏教文化研究会編集)<11月の言葉>より
「モノ」のいのちとは「物の寿命」と考えられます。私の場合、身の回りの多くの物の中には、お気に入りのものがありますが、そのような物に対しては大切にしようという気持ちから、いとおしむ心が自ずと湧いてくるものです。結果、その物の耐用期間(寿命)が伸びることにもつながります。
ところで、お気に入りばかりでなく、他の物も大切にしなければなりませんが、その理由を蓮如上人は『御一代記聞書』(三〇八)の中で次のように教えておられます。「蓮如上人が廊下をお通りになっていたとき、紙切れが落ちているのをご覧になって、『阿弥陀仏より恵まれたものを粗末にするのか』と仰せになり、その紙切れを拾って、両手でおしいただかれたのでした。『蓮如上人は、紙切れのようなものまですべて、仏より恵まれたものと考えておられたので、何一つとして粗末にされることはなかった』と、実如上人は仰せになりました。」
「紙切れ一枚までも、すべての物は仏より恵まれたものだから」というのが、蓮如上人が考えておられた理由だったのです。心に留め置くべき教訓です。
The mind of taking good care of the lives of things.(「モノ」のいのちをいとおしむ心)