他力の信心は「難信」(Shinjin of Other Power Is " Difficult Shinjin " )

　念仏往生の道では戒律はすべて不要だし、善根功徳を積むことも要りませんから、易行道であります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　それではそれだけでよいかと言うと、決してそうではありません。とても大事なことが一つあります。それは、この私のような罪悪深重の凡夫を、そのまま救うとおっしゃっている阿弥陀さまの本願を信ずる、という一事です。易行道とはこの信のことです。そして、この信は決して易しくはないということを、親鸞聖人は「難信」という言葉で語っておられます。本願を信ずることくらい難しいことは他にありません。なぜかと言うと、自分の力で信心を起こすことは決してできないからです。他力の信心とは、阿弥陀如来の心が私の心に来てくださるということですから、如来さまの力によらなければ私の内に信心は起こらないからです。だから難信と言います。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　【　『浄土の哲学　高僧和讃を読む　上 』　大峯顯　本願寺出版社　 】　　　　　　　

　易行道といわれる浄土門において、なぜ親鸞聖人は、信心を得ることは「難信」であると言われたのか、その理由が書かれています。つまり、「信は凡夫において起こる信だけれど、凡夫の力で起こるものではなく、如来さまの力によらなければ起こらないからである」と。

　言い換えると「阿弥陀さまの本願を信ずる他力の信心とは、阿弥陀さまの本願力に自分をすべてお任せしてしまう」ということです。「ところが、このお任せするということが非常に難しいので「難信」と聖人は言われたのだと思われます。( However, it is very difficult for us to leave ourselves to the Buddha, so St. Shinran said it “difficult shinjin”, I think. )」