もっともっと ( More and More )
渇愛(かつあい)とは、私たちの心を「もっともっと」と駆り立てる衝動です。もっとお金がなければ生きていけない。もっと健康でなければ生きて行けない。そう考えるたび、人は自由な心を失ってしまいます。
老後に対する考え方もそうです。どれだけ頑張っても、私たちの体は老い、衰えていきます。去っていく若さを、過去を、必死に食い止めようとすればするほど、それは強い渇愛に変わって私たちを苦しめます。
もし身体が弱ってきたなら、「今まで、頑張ってくれてありがとう。これからは、ゆっくり生きることにするよ」と身体に語りかけてあげましょう。欲望のボリュームを下げると、心の騒音も静かになります。
【 『 老いを生きる仏教の言葉100 』 ひろ さちや [監修] 】
渇愛とは、「[仏] 渇して水をほしがるように凡夫が五欲に愛着すること」(『広辞苑』)です。ここでは「「私たちの心を『もっともっと』と駆り立てること」と、端的に書かれています。
このように、人間の欲には切りがありません。「もっともっと」と求めて、苦しむ結果になってしまいます。そうならないために、
「欲望のボリュームを下げると、心の騒音も静かになります」よ, と諭されるのです。
( Turn down the volume of desire, and the noises of your mind come quiet. )
知足(足ることを知る;現状を満ち足りたものと理解し、不満を持たないこと)が大切でしょう。