荷物は片手に持てるだけ
知足(ちそく)/ 仏遺教経
人生が旅であるならば、荷物はできるだけ少ないほうが、人生を楽しむことができます。
その荷物のなかでも、ついたくさん抱えてしまいがちなのが欲望です。
「もっとたくさん手に入れたい」
「手に入れたものを放したくない」
思えば思うほど、抱える荷物は大きくなっていきます。しまいには荷物に押しつぶされそうになりながら、よろよろと旅を続けている。それがいまの私たちではないでしょうか。
「たくほどは風がもてくる落ち葉かな」
煮炊きをするためだったら、風に散った落ち葉でことたりる。良寛和尚が俳句に詠んでいるように、人生に必要なものは少ないほうがいいのです。
これからの人生は、楽しむための旅です。多くを求めず、いまあるもので満足する。仏教の説く知足の考え方が大切です。
【 『老いを生きる 仏教の言葉100』 ひろ さちや[監修] 】
「知足」とは、「現状を満ち足りたものと理解し、不満を持たないこと」『広辞苑』です。荷物の中でも「欲望」という荷物が一番多い、と言われます。多くを求めず(欲を起こさず)、今あるもので満足することが大切だと諭されます。
荷物は片手に持てるだけ ( Have baggage you can only do with one hand. )