よくよく案ずれば ( Considering Deeply )
「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、親鸞一人がためなりけり」と、親鸞聖人は『歎異抄』後序で言っておられます。
阿弥陀仏は、もしすべての衆生が仏にならなかったなら、自分も仏にならないという本願を立てられました。結果として、既に仏になっておられるのですから、阿弥陀仏の誓願は成就しているわけです。
ところで、この聖人の言葉で注目しなければならないところは、「よくよく」と言っておられるところです。この部分からは、聖人は、「このような罪悪深重の親鸞をお助け下さったとは、どれほど阿弥陀仏にご苦労をおかけしたことか」と、慚愧に堪えない胸中を吐露されていることが感じ取れます。
聖人は、私たち一人一人に対しても、「あなた一人のために、阿弥陀仏は並々ならぬご苦労をされたのですよ」と、言っておられるように思います。
実に、私一人のための五劫思惟の願だったのです。
弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば親鸞一人がためなりけり。( When I consider
deeply the Vow of Amida, which arose from five kalpas of profound thought, I realize
that it was entirely for the sake of myself alone. )