自分を偽らずに生きる（ To Live Not to Disguise Oneself ）

　　愚禿が心は、内は愚にして外（ほか）は賢なり　（愚禿鈔）

　親鸞は自らのことを「愚禿釈の親鸞」と証し、「私の内面は愚かで煩悩にまみれているにもかかわらず、外見は賢いかのように振る舞っている」と記しています。いくら外見を取り繕っても、煩悩は絶えず私たちの内面にあり、止まることはありません。それを何とかごまかそうとするのも、私たちの愚かさのゆえなのです。

　親鸞は自らが凡夫（智慧を持たない者）であることを自覚し、晩年になってもなお、自分の愚かな心を見つめ続けました。そこには、どんなに愚かであっても阿弥陀さまが救ってくださるのだという他力の教えがあったのです。

　偽りのない自分の姿を見せるのは勇気がいるでしょう。しかし、身の丈に合わない飾りをⅠつずつ外していくと、次第に心も軽くなっていくことに気づくはずです。

　　【　『　繰り返し読みたい　親鸞　』　　監修：　釈　徹宗　　リベラル社　】

　人間の喜怒哀楽の感情は無くなりません。どれだけ無くそうと思っても無駄です。煩悩にまみれているからです。自分のことは、自分が一番よく知っているのに、外見をはばかろうとします。親鸞聖人も、自身の愚かさを見つめ続けられた方だといわれます。

　全ての人間が、愚かで救いようのない凡夫だと阿弥陀さまが見抜いておられるからこそ、慈悲の心で救ってくださるのです。この上ない喜びです。